淫謀

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「淫謀」とは、「陰謀」の「陰」を「淫」に代えた造語であり、淫らな方法で人を陥れることである。脅迫あるいは罠などの手段によって、女性を強制的に従えるシチュエーションが目立つ。

龍堂寺士門の淫謀


まったく、この路線バスというものは転寝するのにふさわしくないな…どうやら工事のせいで渋滞に巻き込まれているようだ。仕方なく、その重い瞼を開けてみる…バスの真横で鳴り響く、けたたましい破砕音…どうしてこの環状線はいつも工事しているんだ?まったく、税金の無駄遣いもいいところだ…今日一日だけのガマンと思えばこのくらいは…ホント、これが毎日の通学路でなくて助かったよ。やれやれ、ようやく渋滞から抜け出してくれたか…僕は溜息を付くと、ぼんやりバスの天井を見上げる。思えばこの四年間…なんと無為な時間を過ごしたのだろうか。本来であれば一流校の教師として充実した毎日を送れていたはずなのに…それにしてものどかな風景だ…都心から少し離れているとはいえ、電車が通ってないというだけでこうも緑が多くなるものか?そんな風景を見ながら、ぼんやりと自分の過去を思い返していた…

学生時代は成績優秀。教育実習生時代も勤勉で、教え方も丁寧で実に分かりやすいと褒められた。容姿は冴えない…というより、他人の悪意ある言葉によれば、僕は少々不気味な外見らしい。それでも僕は将来を嘱望された立派な大人になれるはずだった…それなのにあの日以来…僕は…ふと気付くとバスはゆったりとした坂道を上っていた。遠くに紅葉に染まった山々が見える…こんな最悪の人生も今日で終わりさ。なんたって僕は天下の竜ノ宮学園に勤務できるんだからな。まずは非常勤からってことだけど…それだって今の僕には上出来だ。しかし…なんだって僕がいきなり学園側から推薦なんかされたんだ?まさ「やっぱ間違いでした」で終わってしまうんじゃないだろうな…

竜ノ宮学園と言えば、由緒正しいお嬢様達が集うことでも有名な超一流の私立校…近年は少子化の影響もあって男子生徒も受け入れてはいるも、依然として生徒の8割が女生徒だ。おまけに学園内には女子寮もあり、そんな乙女の花園に足を踏み入れることは、まさに男の夢と言える。とにかく行くしかないか。考えていても仕方ない。その夢が今から現実のものになろうとしている…そう思うだけで思わず身体の芯から熱い欲望の塊が突き出してきそうになるのを感じた…おっと、最近ご無沙汰だったからな。もう少しの辛抱さ…僕は一人ほくそ笑む。その時、ふと二人連れの中年女性が僕の方を振り返り、ヒソヒソと何かを話していた。なんだ?お前らのその目は!僕はただ一人言を呟いていただけだぞ?お前らの様な弛んだ贅肉や歪んだ骨格の醜い身体なんかに興味はない…うせろ、この賞味期限切れのブタ共が!せっかくのいい気分が台無しだ!怒鳴りつけてやろうかと思ったが、何の価値もないゴミクズだと思えばなんてこともない。僕はそんなくだらないことに貴重な時間やエネルギーを浪費する愚か者ではないんだ。フンッと軽く鼻息を鳴らし、目線をやっただけでブタ共は僕から目線を逸らす。そうだ。貴様らブタ共は僕のように高尚な人間の邪魔をせず、大人しくしていればいいんだ…まったく、こんなくだらないことでまた人生の無駄遣いをしてしまった。これ以上はゴメンだとばかりに僕は視界を塞ぐことにする。もっと楽しいことを考えいよう。これから出会う女生徒達のことを…若い女教師もいるかな?教育実習生だったらもっといい。そんなことを想い浮かべながら僕は、再び微睡の中に沈んでいった…

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