名門女子校

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「名門女子校」とは、女性のみが通う由緒ある学校のことである。共学の場合は単に「名門校」高校の場合は「名門女子高」と表記される場合がある。世間知らずのお嬢様や高飛車な理事長の娘などが生息している。

ましろ色シンフォニー


どんな子なんだろう?そう思っていた。彼女がそこにいた。瀬名さん?「はい。お兄さんですよね?」さっきまで携帯から聞いていた声が答える。顔中で笑み崩れる。それなのに不思議なくらいに上品で。「見て、すぐにわかりました。創造してたとおりなんですもん!」俺には想像以上で。ただ見上げていた。息をするのも忘れていた。「よかった、桜乃。これでもう大丈夫よ!」「お兄ちゃん」うん。妹の視線で思い出す。ゆっくりと息を吸い、思い出す。

夜気に甘く混じる金木犀の香り。秋は好きだった。自分が深々と空気を吸っていると、その香りで強く実感できる。うん…カガミモールを出て、それから迷子になっちゃったんだよね?優しく問いかける。「うん。私、久々に派手にやらかしちゃった…今、自分がどこにいるかもわからない」返ってくるのは、珍しく申し訳なさそうな響きをした妹の声。買い物に行ったっきりなかなか帰ってこないと思ったら、やっぱり迷子になっていたらしい。そっか。うん、電話してみてよかった。彼女は基本的に落ち着いた頭のいい子なんだけど、結構な筋金の入った方向音痴でもある。頻度こそさほどではないものの、ひとたび迷子になると、とにかく派手に道に迷ってしまう。

「ごめん」ううん、こう言っちゃなんだけど、迷子でよかったよ。桜乃は可愛いから、いろいろ心配しちゃってたんだぞ。ともあれ俺は、少し恥ずかしいことをあえて冗談めかして言う。恐縮されるのはとても苦手だ。たとえ相手が妹でも。いや、妹だからこそか。「心配いらない。迷子」言った甲斐あって、電話の向こうでいつもの調子を取り戻してくれた。うん、こうでないと。そうそう、だから心配なし。迷子なら俺が見つければいいんだもんな?「うん、迷子ならお兄ちゃんに見つけてもらえばいい」いつも通りにね。それじゃあ…「目印になるものが出てきたら電話する」了解。じゃ、あとでね。「あとで」

笑いながら通話を切る。ホントにいつも通りのやり取り。桜乃もいつも通りに俺を信頼してくれてる。うん、迷子になったんだろうなーって、すでに外に出てた甲斐があったというか。兄としてはきちんと見つけ出して、可愛い妹の信頼に応えてあげないとな。よし!待ってろよ。歩き出す。彼女が今日向かった大型ショッピングモールは駅向こう。こっちに住んでる俺たちは普段めったにあっちには行かない。桜乃が普段買い物に行くのだって、家のすぐ側にあるスーパーだ。それがなんで今日に限ってとかはまあ、思うけど。やっぱり明日に備えてかな。再び空を仰いだ。なにせこれが明ければ、俺たちは10月を迎える。

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