密室

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「密室」とは、密閉状態で外部から入れない部屋のことである。内部から脱出も出来ない場合が多い。男女が閉じ込められてエッチしたり、女性が閉じ込められて調教されたりする。

ジャムアンリミット 〜密/室/監/禁〜


例えばオレが或る部屋で或る一人と一夜を共にしたとしよう。オレと話をしている内に彼女はオレの事を狂っていると思っていたとしよう。彼女と話している内にオレが彼女の事を狂っていると思っていたとしよう。オレ達はどちらが正常なのだろうか。そこに絶対的な倫理観が存在しているのか?それとも多くの狂っている人間が普遍だと思えばそれは正常なのだろうか?こんな疑問を周りに幾ら聞いたところで、何の参考にもならない答えしか返ってこなかった。「疲れてるんだよ」だの「ガキじゃないんだから」だの「哲学だね」だの…皆は気にはならないのだろうか?疑問を持った事すら無いのだろうか?

いつもの自問自答がはじまって、思わず口から溜息が漏れた。オレは諦めて目を閉じると、意識を頭骨の後方に集中させる。取りとめも無く湧き出す疑問と思考。経験上こう言う場合は結論らしきものが出るまで放置するしか無いのだから…そう、ガキの頃もそう思った。そう、道徳なる授業が大嫌いだった。「相手が嫌がることはやらない」「相手の気持ちになってみる」「草や動物も生き物だから優しく接する」そんな事、実践できる人間なんているだろうか?意識しないでも他人を傷つけることは多いし、自分じゃないから相手の気持ちなんかにはなれない。他の生き物に優しく…って、獣肉食ってる人間のどこを突っついたらそんなセリフが出てくるのだろうか。それは対象を人間だけに絞ったとしても…例えば自活すら出来ない人間に募金をした人間はそんなに偉いのだろうか?横断歩道を渡っている老人の手を取ってあげる、道を聞かれたら教えてあげる、電車で席を譲る…それも只の優越感や満足感や社会的なプロパガンダでは無いのだろうか?

こんな事を日常的に考えているオレに対しての社会的評価はきっと狂っているのだろう。でもそれはオレにとっては正常な事なのだから…それとも道徳的には他人は今のオレの立場になって一緒に狂ってくれるとでも言うのだろうか?否だ。そんなことは断じて無い。働き、友人の話にあわせて頷き、欠伸をし、眠り、本を読んで、程々見れる女の子と付き合い、会社の人間と酒をかっくらい、クソをして。それでも心は晴れぬまま時間が過ぎ、そして…何時かは死ぬのだ。そこまで考えて欠伸をしながら目を開けた。

今日は土曜日で会社が休みだ。オレはやる事も目的も見出だせないままTVをぼんやりと見ているしかなかった。画面では濃蒼のスーツを着たニュースキャスターがタイムシートに沿って今日起きたどうでも良い事を喋っていた。自分を理解出来ない未熟者が他人の起こした事件なぞに口を出せるハズも無く、ただぼんやりとブラウン管を眺めていた。盗撮犯御用!電車で90人以上も?CMが終わるとチープなテロップと共に派手なBGMが流れ、ニュースキャスターが淡々と事件の内容を語り始めた。90人以上も盗撮する、その情熱を是非分けて欲しい。無為よりも有為だ。そう思う。リモコンでTVをの電源を落として再びオレは目を閉じた。真っ暗な闇の中に在るのはオレと言う意識だけ。何となく生きている自分をそろそろ否定した方が良いかもしれない。オレは何かを確かに渇望していた。

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