探偵

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「探偵」とは、他人の秘密を調査する職業のことである。主人公自身が探偵であるか、ヒロインの助手を務めるかの2パターンに分かれる。猟奇的な事件に巻き込まれ、リョナ展開になることもしばしば。

シンソウノイズ 〜受信探偵の事件簿〜


「何から言えばいいのかな…ほんとうは文章で残しておくほうがいいんだよね。でも、それは…その。わたし頭悪いから、ただでさえきっとうまく言葉にできないのに、考えながら書くなんて難しそうで…とにかく、こうしてしゃべったものを録音しておこうと思います。きっと何もしないよりいいよね。今のわたしが憶えていることを、思い出せる限り全部、忘れる前に。いつか役に立ちますように。それで結局、何から言おう?はじめから?はじめってどこだろう。はい、落ち着きました。今わたしが詳しく思い出せるのは―4日前。進学して1ヶ月過ぎて、ゴールデンウィークも終わって、みんな静乃宮学園に慣れてきたころ。行動班を決めた日っていえば、思い出しやすいかな?最初はわたしたち、違う班だったよね。」

はい、それじゃあ黒板の表示に従って、それぞれの班の席に移動してください。先生の一言で、教室の空気が一変した。あちこちから椅子を引く音、ボリュームをあげる雑談。まるでフルーツバスケットみたいだ。5班か。どういうメンバーがいるんだろう。緊張する。当たりだといいな。厄介者がいませんように。あの人と同じ班になりたいけど、そう都合のいいことは起きないよな。膨れ上がっていくざわめきに紛れて、俺だけに聞こえるもうひとつの声も活発に渦巻いた感情どころか性別さえもわからない、機械音声じみたそれらは、実のところ生の声よりも実感のこもったクラスメイトたちの本音だ。気持ちはよくわかる。俺だって心から祈っている。いいメンバーに恵まれますように。相性の悪い奴と当たりませんように―さっき引かされた紙切れを改めて見る。俺の1年を占う数字、3がくっきりと記されている。3班。あのあたりか。すでに複数の男女が集まっているようだった。

俺はクラスメイトたちの間をすり抜けて、3班に割り当てられた席へと急ぐ。「あんたも3班なの?」真っ先に俺に気づいたのは風間夏希だ。ポニーテールを揺らしながら振り向いて、じろりと下から上へ俺を眺める。こいつか。わりと当たりの班だと思ったのに。のっぺりした発音にも関わらず、ため息が聞こえてきそうな心の声を受信した。目の前の風間夏希のものだろうか?わからない。周囲の他の誰かの本音かもしれない。けれど。ああ。3班だよ。「ふぅん。そう。」わからなくたって、風間に歓迎されていないのはあきらかだ。愛想笑いのひとつもなく、ふい、と視線を逸らされる。

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